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いまここでどこでもない

I can't give you all that you need ,but I'll give you all I can feel.

スヌーザーが選んだ2007年度ベスト・アルバム10

RAM


2000年代というディケイドの最大のターニングポイントを選ぶとしたら、どうしても2007年になるんじゃないだろうか。ざっとこの年の出来事を箇条書きにしてみよう。

レディオヘッドIn Rainbows』のリリース。
②「北米インディ」ブームの本格化。
③ブリアル『Untrue』によるダブステップのメジャー化。
④ディスコ・パンクからニュー・レイヴへ。
⑤OFWGKTAの結成。

①についてだが、最高傑作であるアルバムのその素晴らしい内容についてはあえて触れない。ご存知の通り『In Rainbows』はホームページから自由価格でダウンロードできる形でリリースされた。今でこそ広く浸透した「name your price 」(彼らは「IT'S UP TO YOU」と表現していたけど)という概念も当然、当時としては非常にセンセーショナルな試みだった。紛れもなく世界のトップにいたバンドが(トップだからこそ可能だった、としても)、リスクを犯しこのような大冒険に踏み切ったことを忘れないでおこう。そしてその後、彼らは10年前に望まずして「選ばれてしまった」王者の座からゆっくりと退いてゆく。


②について。ディアハンターノー・エイジMGMTボン・イヴェールなどが相次いで登場した2007年。ベテラン(?)勢も各メディアから大絶賛されたパンダ・ベア『Person Pitch』を筆頭に、アニマル・コレクティブアーケイド・ファイアが引き続き充実作をリリースし、ザ・ナショナルバトルススプーオブ・モントリオールらが大躍進を遂げた。絶景かな。


③。ダブステップの詳細な歴史についてはウィキペディアなどを参照してもらうとして、ダブステップレディオヘッドに強く影響を受けたのは有名な話だ。またブリアルの(ひいてはダブステップの)作風がビーチハウスザ・エックス・エックスといった所謂ドリーム・ポップのアクトに与えた影響も決して無視できないだろう。退廃的だけど陶酔感のない彼らの「暗さ」はダブステップのクールネスに由来している。


④。ニュー・レイブとディスコ・パンクについては、同じ音楽スタイルの呼び名がクラクソンズ登場以後/以前で変化しただけとの見方もあるが、ここでは異なった立場を取りたい。DFAを中心としたディスコ・パンクの主たる参照先が80年代のニューウェーブ/ポストパンクだとしたら、クラクソンズジャスティスといったニュー・レイヴのアーティストが参照したのは2000年初頭に死滅したビック・ビートという狂騒だった。そのリバイバルと呼ぶにはあまりに早すぎるスパンに、数年前に発明されたYouTubeというタイムマシンの存在を連想するのは勘繰りすぎだろうか。もっとも、ニュー・レイヴに取って代わられたディスコ・パンクの代表格LCDサウンドシステムは更に音楽性を拡張した最高傑作『Sound of Silver』をリリースし、その風格と存在感は増すばかりだったのだけど。



⑤のOFWGKTAの結成というトピックの重要性については、タイラー・ザ・クリエイターフランク・オーシャンアール・スウェットシャツザ・インターネットという名前を知る2015年のあなたには、もはや説明不要だろう。そして驚くなかれ、OMSBQNが手を組みこの国最強のヒップホップ・クルー、シミラボを結成したのも奇しくも2007年だ。


そんな多くのドラスティックな変化があった2007年。時代の変化に直接的な影響を与えてなくとも、しかし、この記事の冒頭を飾る音楽家に七尾旅人を選ぶことに迷いはなかった。ここで多くを語ることは避けるが、彼がクリエイトした『911 FANTASIA』という物語は21世紀を迎えてもなお日本に蔓延していた「90年代的」なものを乗り越えようとした数少ない作品であり、成し遂げた最初の音楽作品である。その想像力が真の意味で「ゼロ年代」という新たな時代をスタートさせたという点でも、まさにメルクマールたるアルバムだ。


スヌーザーが選んだ2007年度ベストシングル10

10.七尾旅人『911FANTASIA』

911FANTASIA

911FANTASIA

Youtube


9.Arctic Monkeys『Favorite Worst Nightmare』


8.Justice『†』

Justice

Justice

  • ジャスティス
  • エレクトロニック
  • ¥1650


7.Battles『Mirrored』

Mirrored

Mirrored

  • Battles
  • ロック
  • ¥1500


6.くるり『ワルツを踊れ』

Tanz Walzer

Tanz Walzer


5.Super Furry Animals『Hey Venus!』

ヘイ・ヴィーナス!

ヘイ・ヴィーナス!

Youtube


4.Spoon『Ga Ga Ga Ga Ga』

Ga Ga Ga Ga Ga

Ga Ga Ga Ga Ga

Youtube


3.Klaxons『Myths Of The Near Future』

Myths of the Near Future

Myths of the Near Future

  • Klaxons
  • インディー・ロック
  • ¥1400


2.Lcd Soundsystem『Sound Of Silver』

Sound of Silver

Sound of Silver

  • LCDサウンドシステム
  • エレクトロニック
  • ¥1600


1.RadioheadIn Rainbows


スヌーザーが選んだ2007年度ベストシングル10

Apple Music Playlist

1.Hard-Fi「Suburban Knights」

2.Justice「D.A.N.C.E.」

3.Cajun Dance Party「The Next Untouchable」

4.曽我部恵一BAND「魔法のバスに乗って」

5.Arctic MonkeysBrainstorm

6.Hadouken!「Liquid Lives」

7.The Hives「Tick Tick Boom」

8.Bonde Do Role「Office Boy」

9.Those Dancing Days「Those Dancing Days」

10.Ash「You Can’t Have It All」