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いまここでどこでもない

I can't give you all that you need ,but I'll give you all I can feel.

BEST ALBUMs of 2014 (20→11)

album of the year

リイシューとはいえボブ・ディラン(とザ・バンド)の1967年のブートレグがあまりに素晴らしかった事と、まさかまさかのディアンジェロのニューアルバムがリリースされるというニュースのおかげで、ここにきて年間ベストをどうするかを少し迷いましたがとりあえず暫定ということでポストします。

今回は20位から11位です、どうぞ!


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20.Novos Misterios/Ninos Du Brasil
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音楽について「胡散臭さ」というのは個人的に重要な要素のひとつで、例えばカニエの『イーザス』やフォキシジェンやヴェイパーウェーブの連中はホント最高だったりする。それに比べると日本のアーティストは誰も彼も清潔というかなんというか、前野健太とか豊田道倫は怪しい感じがして惜しいんだけど、どうもクリーンすぎる嫌いがある。このイタリア出身のパーカッション・コンビから溢れ出る濃密な胡散臭さを見習ってほしいものだ。音楽の基調はインダストリアルとブラジリアン・サンバの一種「バトゥカーダ」のアマルガム。怪しい。呪術的かつトライバル。アマゾンの奥地に住む謎の民族が夜な夜な集まって行う謎の儀式がやたら高画質で隠し撮りされているような、そんな胡散臭さ。最先端のプリミティブな快楽、あり〼。

Novos Misterios


19.音街巡旅/空気公団
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キャリア最高傑作のライブ盤『夜はそのまなざしの先に流れる』に次いで、またもや素晴らしいライブアルバムをリリースしてくれました。コンサートの音源をそのまま収録するのではなく、サンプリングやオーバーダビングをさり気なく施しているそうです。同じくライブ盤の傑作であるフィッシュマンズの『Oh!Mountain』や『8月の現状』を思い出すのは僕だけではないでしょう。しかし、実際に鳴っている音に耳を傾けてみると、とても自然でまるで目の前で彼らが演奏してくれているかのような親密なアンビエンスが満ちています。吉田秋生海街diary』にも通じる清らかな空気。優しくて、少しだけ冷たい空気が凛と張っています。

青い花


18.A New Testament/Christopher Owens
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オープニングトラック「My Troubled Heart」のイントロ、そのギターのあまりの濁りのなさがこのアルバムを象徴している。カントリー、ゴスペル、賛美歌といったそれ自体は使い古されたフォーマットを使用し、気の置けない仲間たちとワイワイ製作している様子が伝わってくるさまに、中村一義の『100s』を初めて聞いた時のような感動と戸惑いを覚えた。違う。何も戸惑う必要なんかない。このスウィートでセンチメンタルな純度100%のポップソングに子供のように人目を憚らずに涙すればいい。ひとりぼっちで巨大なトラウマを抱えた表現者が救われることに「裏切られた」だなんて思ってしまった僕のような罪深いリスナーは死ぬべきなのだ。今すぐにでも舌を噛み切って贖罪すべきなのだ。

Nothing More Than Everything To Me


17.More Than Any Other Day/Ought
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モントリオールから届けられたポストパンクを基調に近年のローファイなインディー風味を加えた、はち切れんばかりの若さと可能性に満ちた眩しいデビューアルバム。もし俺が16歳なら、絶対にこんなバンドをやりたかったな。神経質で、自信過剰で、ナルシスティックで、何より苛立っている。ジャケットもいい、「個人主義と連帯の共存」って感じで。ツイッターのタイムラインで大学生のこんな写真が流れてきたら正直ゲンナリだけど、これは許す。それがバンドマジック。曲は全部いいし、タイトルトラックの歌詞もすげえいい。「でも全部オッケー/だって今日は最高の日/俺は全てのど真ん中にいて/俺のためにプレイしている/全部がうまくいく」。P.I.Lの「RADIO4」のように美しい「Forgiveness」などの楽曲がこのアルバムをより味わい深い作品にしている。2014年最高に嫉妬したバンド。

Today, More Than Any Other Day (live)


16.Ruins/Grouper
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夜が明ける。朝が私を呼んでいる。

Holding


15.Bécs/Fennesz
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巨大な太鼓の音からモジュール・シンセと『永遠の夏』以来の感傷的なアコースティックギターが鳴り響く冒頭の「Static Kings」を聴いた瞬間に今作が傑作であることを確信した。十八番でありながらどこか本人自身が封印していた感のある「エモーショナルなノイズ」を前面に押し出した今作は、クリスチャン・フェネスというミュージシャンのSSW的な作家性を感じさせる。例えば、アルバムを締めくくる掌作「Paroles」は弾き語り/ストーリーテリングの最もモダンな形態とも呼べるかもしれない。そこには言葉もなく明確なストーリーも存在しないが、だからこそリスナーに豊かな物語を想起させる。それも聴くたびに異なった物語を。ナラティブという点では「live in Japan」に比べると些か分が悪いが、アルバムを通したスケールや構築美を踏まえれば最高傑作を更新してくれたと言えるだろう。スピーカーで爆音で聴いてほしい。ノイズの洪水のなかできっとたくさんの出来事を目撃し、体験するはずだ。そして時に『Bécs』により精製された物語は何万もの言葉でも語り尽くせない、豊かな感情と残り香をあなたにオファーしてくれる。

Bécs


14.ナマで踊ろう/坂本慎太郎
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手前味噌ながら自分で書いたこの記事がやっぱり割と最高のレビューなんじゃないかと思うのです。その昔インタビューで砂原良徳が「世の中が酷すぎて全部自分を笑わせるために、ギャグでやってるんじゃないだろうか」という旨の発言をしていたが、坂本慎太郎「まともがわからない」はその感覚を更に突き詰めたものだった。ヒトラー似の独裁者のFacebookレイシストどもがこぞってコメントするなんて、もはや漫画の世界だぜ。「見えない敵」なんて使い古された90年代的なタームも生ぬるいニヒリズムも捨てちまえ。残念ながらギャグではないが、笑ってしまうほど「むちゃくちゃ悪い男」や「スーパー・カルト」や「恐ろしいしくみ」が存在している。それらをひとつ残らずぶち壊せ。遠慮はいらない。だって、この世はもっと素敵なはずなんだから。

この世はもっと素敵なはず


13.Unnatural World/Have A Nice Life
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2008年にデビュー作『Deathconsciousness』(大傑作!)をリリースして以来音沙汰のなかったHave A Nice Lifeの新作。2008年から2011年までの未発表曲をコンパイルしたものらしく、厳密には新作とは呼べないかもしれないが内容は文句無しに素晴らしい。シューゲイザー、インダストリアル、ドローン、アンビエントストーナーロック、ドゥームメタル、ノイズをぶち込んだサウンドは胡散臭さの極致。それでいて崇高な美しさも兼ね揃えている。怪しげな宗教団体のミサのようなジャケット写真そのままのサウンドスケープが展開されていて、オカルト好きな人にも超絶レコメンド。もちろん、そもそも単純にめちゃくちゃかっこいい音楽です。Silencerとか『IOWA』の頃のスリップノットの怪しげな雰囲気が好き人とかも是非。

Guggenheim Wax


12.Sun Stractures/Temples
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彼らテンプルズはその端麗なルックスに似合わない筋金入りのディープなサイケ趣味の赴くままに、恐らくは最大の参照点であろう60年代のサマー・オブ・ラブに限らず、古今東西サイケデリック・ミュージック(特にイタリアン・プログレッシブからの影響は大きいのではないだろうか)から貪欲にエッセンスを吸収しては見事にアウトプットしている。しかも若年寄り的な趣味に留まらず、スーパー・ポップに要素を組み立ててゆくそのセンスの凄まじさには舌を巻くばかり。メンバーのミステリアスかつクールな佇まいも美しい。デビューからこんなパーフェクトなバンド、ストロークス以来じゃない?本当にとんでもない連中が現れたもんだ。まったく末恐ろしい。

Shelter Song (live)


11.They Want My Soul/Spoon
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彼らの、というかこのアルバムの最大の魅力は「クール」という点に尽きる。それはもちろん「かっこいい」という意味であると同時に、テクスチャーとして「冷ややか」という意味でも『They Want My Soul』は極めてクールなアルバムだ。僕が『ワンピース』という漫画がどうも好きになれない理由のひとつにあの暑苦しいエモさが苦手、というのがある。ほら、あの鼻水をズルズルに流しながら泣く感じ。とにかく僕はロックバンドにはカッコつけていていてほしい。カッコつけないのがカッコいいなんてカッコわるいことを言わずにカッコよくあってほしい。どれだけエモーショナルでも汗臭くなくて、どれだけ悲しげでも湿っぽくないのがいい。だから、すべてのロックバンドはスプーンのこのアルバムを聴くべきだ。氷のように冷たいのに熱いナイフのように尖ったこのサウンドは、きっと今世界で一番クールなロックだ。

Inside Out (live)