いまここでどこでもない

I can't give you all that you need ,but I'll give you all I can feel.

Best 50 Albums of 2016

2016年はまだ1ヶ月も残っているのに、少々フライング気味ですがベストアルバム50枚を。愛聴したはずなのに漏れてしまったアルバムが何枚もある気がします。ざっと思いつくのは、大森靖子「Tokyo Black Hole」とか、マックスウェル「black SUMMERS' night」と…

The 1975『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It』

デビューアルバム『The 1975』はモノトーンな美意識が、少なくともビジュアルイメージに関しては、貫かれていたが、最新作においてカラフルな装いに転向しても彼らの最大の魅力は少しも損なわれていない。甘さ。チョコレート、それもブラックではなくホワイ…

Kanye West『The Life of Pablo』

一体何故、こんなことになってしまったのだろう。オフィシャル・サイトで公開されたクレジットに記載されている参加ゲストの面子の豪華さにクラクラしながらこの作品を聴いていると、カニエ・ウェストというミュージシャンのエゴは本当に本当に本当に厄介な…

Best 50 Albums of 2015 (50→26)

2015年はヤバい。そんな言葉がTwitterやブログや音楽メディアで踊る毎日。Apple MusicやAWAも登場したこのご時世に、気付けば150枚近くCDを買い、更にはダウンロードやストリーミングを駆使しながら貪欲に音楽を吸収した。こんなのはスヌーザーのディスクガ…

Best 50 Albums of 2015 (25→?)

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Grimes『Art Angels』

Pitchforkが近日中にアップするだろう『Art Angels』についてのレビューが、良くも悪くもこの作品に対するリアルタイムでの評価の尺度となるのはまず間違いないだろう。だからこそ、なんて言い方はあまりにPitchforkを神格化しすぎな気もするが、それまでに…

Oasis『Heathen Chemistry』と批評を巡る対話

ピッチフォークにとってオアシスというバンドはどういった存在なんだろう?と思いレビューを調べてみたら、ボロカスに貶していて(流石に最初の2枚はある程度評価していましたが)案の定というか何というか。特に1.2点という滅多にない低得点を叩き出した『ヒ…

秋に聴きたいセンチメンタル過剰な10曲+α

みんな大好きオーケストラルくるりを代表する名曲「Jubilee」。あの曲でいちばん泣ける瞬間は、岸田繁が物憂げに「あぁ、さっきから風が冷たい」と呟く瞬間だと思うのですが、どうでしょう。同じく、みんな大好き中期フィッシュマンズを代表する名曲「感謝(…

The World Is a Beautiful Place & I Am No Longer Afraid to Die 『Harmlessness 』

The World Is a Beautiful Place & I Am No Longer Afraid to Die 。「この世界は美しく、僕はもう死ぬのは怖くない」という「世界の終わり」と名乗っていた頃のセカオワすらドン引く程のナイーブさを臆面もなく露わにしたそのバンド名。2009年にアメリカの…

是枝裕和『海街diary』

2度目となる『海街diary』を観終わった。わざわざ同じ作品のために2回も映画館に足を運ぶという経験は初めてのことだ。音楽でも、小説でも、きっと映画でも、初めて触れたその瞬間から心の何処かに住みついてしまう作品というのがこの世界には存在している。…

2015年に聴く中村一義

先日、人生で初めてデモに参加してきた。この場合「参加」という言葉を、僕が忌み嫌っている「参戦」と置き換えてもきっと構わないのだと思う。僕はあの日、確かに腹を立てて、声を出しに、文句を言いにデモに加わった。特定の人物に敵意を向けた言葉を叫び…

Ducktails『St. Catherine』

麗しき新世代ギターロック・バンドの雄リアル・エステート、そのギタリストであるマット・モンダリルが率いるダックテイルズ。ソロプロジェクトといっても結成は2006年と、2009年に始動したリアル・エステートよりも歴史は古く、寧ろ彼にとってはホームとも…

Tame Impala『Currents』

奇妙な作品だ。少なくともテーム・インパラのパブリック・イメージであるサイケ・ロック/ギター・ロックの範疇からは大きく逸脱したアルバムだ。昨年リリースされたハウ・トゥ・ドレス『What Is This Heart ?』を連想させる、ソウル・ミュージックへの接近。…

音楽雑誌スヌーザーが僕らに残してくれたもの (Random Access Memories)

RAM

かつてスヌーザーという音楽雑誌がこの国にはありました。元ロッキングオンの副編集長、現在はthe sign magazineのクリエイティブ・ディレクターを務める田中宗一郎という人が責任編集する形で1997年にスタートし、2011年に終刊となるまで足掛け14年間全国の…

Sentimental Drone Music Disc Guide

あくまで個人的な実感の域を出ないのだけど、2000年代前半、fennesz『Endless Summer』という傑作に端を発して「叙情的なエレクトロニカ」とカテゴライズされる音楽の大ブームがあった。あなたが僕と同じくあの時代に音楽に夢中だったなら、Mego, Karaoke Ka…

The Best 30 Albums of 2015 So Far

2015年という年は、十数年後、もしかしたらポップミュージック史上の歴史的な一年として記憶されているかもしれない───、だなんて、思わずそんな妄想を巡らせてしまうほど、国内外を問わず毎週のように傑作がポストせれたこの半年間。いや、マジホント楽しか…

cero 『Obscure Ride』(Raw)

『Obscure Ride』のサウンドへの言及に比較して、その作中で語られた事象についての言及は現時点では驚くほど少ない。そこで、このディティール編では今作で多用される【船】と【影】というモチーフと【砂漠】/【海】(と「都市」)という舞台が何を意味するの…

cero『Obscure Ride』(Rough)

予めメモしたアルバム発売日にタワーレコードへと足を運び、初回限定版がまだ残っていることに心から安堵してレジに向かい、帰り道にどうしても気になって歌詞カードを取り出し、部屋に戻ると急かされるようにCDをセットし、ほんのちょっとの不安を抱えなが…

Kanye West『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』

まったく、この国の自称・音楽好きの人々のカニエ・ウェストに対する関心の低さは一体何が原因なんだろうか。カニエはあらゆるスケジュールを白紙にしてでも去年のフジロックに来るべきだった。理屈抜きに圧倒的なパフォーマンスで、まるで黒船のように文化…

カニエ・ウェストはかく語りき

カニエ・ウェストがPAPER紙にエッセイを寄稿していました。テーマは「アメリカン・ドリーム」。しかしカニエさん、出だしから「俺の夢は”アメリカの夢”みたいなちっぽけなもんじゃねーから」と一刀両断。クリエイティブに対する異様なまでの拘泥に文中で何度…

2014年のベストいろいろ

あけましておめでとうございます。前回の年間ベストアルバムに引き続き、2014年のベストソング、ベストリイシュー、ベストミックステープ、ベストブックを選びました。ベストムービーはアナ雪と抱きしめたい(しか観てない)です。来年はたくさん映画を観るこ…

BEST ALBUMs of 2014 (10→1)

ようやく完成しました。2014年のパーソナルベスト、最後の10枚です。楽しんでもらえたら幸いです。どうぞ! 10.Black Metal/Dean Blunt 「ウェルメイド」って言葉がネガティブな意味で使われるようになったのはいつからだっけ?作品として統一感があって、お…

BEST ALBUMs of 2014 (20→11)

リイシューとはいえボブ・ディラン(とザ・バンド)の1967年のブートレグがあまりに素晴らしかった事と、まさかまさかのディアンジェロのニューアルバムがリリースされるというニュースのおかげで、ここにきて年間ベストをどうするかを少し迷いましたがとりあ…

BEST ALBUMs of 2014 (30→21)

そもそも僕がこのブログを始めた理由は、毎年趣味で作っていた年間ベストアルバムのリストを発表する場がほしいというものでした。年末になると世界中でたくさんのベストアルバムがポストされます。それらリストのおかげで数え切れないほどの素晴らしい音楽…

10月のレコメンドミュージック

今回からタイトルを「ベストミュージック」から「レコメンドミュージック」へと微妙に変更してお送りいたします。こちらの方がしっくりくるというだけで深い理由は特にありません。10月は何よりベストソングから。これ。断トツ。最初の一週間で100回は聴いた…

「ネットの音楽オタクが選んだ2010年代上半期のベストトラック」の知らない曲を聴いてみる

僕も参加させてもらった音楽だいすきクラブの「ネットの音楽オタクが選んだ2010年代上半期のベストトラック」企画。邦楽のランキングが発表されました。 「ネットの音楽オタクが選んだ2010年代上半期のベストトラック 邦楽編 50位→1位」(リンク内に50位以下…

Grouper『Ruins』

Grouperの最新作『Ruins』がリリースされた。Ruins/Grouper 2014 まずはざっと彼女の歩みを振り返りたい。GrouperことLiz Harrisは1981年に米ポートランドで産まれた。2005年からインディペンデントに何枚かのCD-R作品をリリースし、2008年の『Dragging a De…

Giant Claw『Dark Web』

食品まつりの作品などのリリースで知られるレーベル「Orange Milk」の主催者、Keith Rankin a.k.a Giant Clawの『Dark Web』がとんでもない! DARK WEB by Giant ClawFKA twigsの『LP1』が良い意味でも悪い意味でも「置きにいった」ウェルメイドなR&Bアルバ…

My 10 Favorite Nirvana Songs

極私的なニルヴァーナの10曲。なんで今更ニルヴァーナなのか?というと、昨晩『MTVアンプラグド』を聴いてその美しさに息を呑んだから、と極めて単純で個人的な理由でしかない。何にせよ、インターポールのポール・バンクスが「僕にとって唯一のロックスター…

9月のベストミュージック

秋も深まってまいりました。すっかりスチャダラパーの名曲「Mr.オータム」が染みる季節になってしまいましたね。きっと秋が来るたびにこの曲を聴いて、色々思うことも増えていくのでしょう。年々と。ちょっと嫌になっちゃう。 例年のごとく街を疾走 KEEP ON …