読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

いまここでどこでもない

I can't give you all that you need ,but I'll give you all I can feel.

サタデーナイトフィーバー/小沢健二

小沢健二がソロデビュー時に日比谷野外音楽堂で行ったフリーコンサートでのみ披露された幻の曲。コンサートを収録したビデオ「ファーストワルツ」でもカットされている。映像はテレビ版かな?

サタデーナイトフィーバー/小沢健二 1993


ねえ朝焼けにまだ遠く
ねえ冷え切ってるビルの上で歌が歌われてる

ねえ信号を待つ誰か
ねえにわか雨のようにきれいな笑い声立てている

愛について戸惑ってばかりの僕は
BABY BABY BABY BABY BABY
いつだって絡まってばかりだったけど
本当のことへと動き続けよう
生まれ落ちる新しい世界へ

熱がならされて霧が覆う広告
路上ではタクシーが渋滞を罵り続けるだろう
受け入れる心の扉を開き
声を上げて変わりゆく時代

歩道まで散らばって戻らない砂
BABY BABY BABY BABY BABY
名前だけ並べてばかりの彼ら
静かに眠りゆくこの街の中へ生まれ落ちる新しい世界

壁に背もたれている僕の耳に届くのは
終わらないパーティの嘲りふざける大騒ぎ
階段を駆け下り君と感じたい
声を上げて変わりゆく時代

愛について苛立ってばかりのぼくは
BABY BABY BABY BABY BABY
いつだって絡まってばかりだけど
本当のことへと動き続けよう
生まれ落ちる新しい世界へ


聴いての通り彼のファーストアルバムに収録された「カウボーイ疾走」のプロトタイプとなっている。比較してみると興味深い。

カウボーイ疾走における「本当のこと」に戸惑う人に対する苛立ちはこの曲では自らに対しても向けられている。また「夜明け前の弱すぎる光」に対し「生まれ落ちる新しい世界」とストレートな希望を歌っている点も見逃せない。「名前だけ並べてばかりの彼ら」「終わらないパーティの 嘲りふざける大騒ぎ」あたりはフリッパーズに対する決別宣言か。洗練されたカウボーイ疾走と比べて荒削りで青臭い貴重な音源。

しかし「僕は無限にゼロをめざそう」と言い放った数年後のこの掌返しは衝撃だっただろう。小山田圭吾が尾崎みたいと揶揄するのも無理はない。なんにせよ1人のアーティストのドラスティックな転向を目撃できたオーディエンスを羨ましく思うのは僕だけじゃないはずだ。