スヌーザーが選んだ1997年度ベスト・アルバム10
小室サウンドが今だにその勢力を保ち続けた1997年の日本。すっかり文化的鎖国状態であった音楽シーンに風穴を開けるようにドラゴンアッシュと中村一義という2組のミュージシャンがデビューした。かたやミクスチャーロック、かたや宅録ローファイサウンド。唯一の共通項はどちらも海外のポップミュージックにその歩調を合わせ、貪欲に同時代の音楽を吸収していたという点だ。中村一義が守護神として崇めたビートルズを同じく信仰するオアシスは『Be Here Now』をきっかけに長い低迷期に突入することになる。ブリットポップという国粋主義的なムーブメントがその象徴たるバンドの失速と共に終焉を迎え、ヴァーヴは『Urban Hyms』というレクイエムを英国に捧げた。
そして空席となった王座には、誰もが「Creep」だけの一発屋と侮っていたレディオヘッドが本人たちが望まない形で座ることになる。同時代のDJシャドウに代表されるアブストラクト・ヒップホップや、ポーティスヘッドなどのトリップポップといった非ギターロックに影響を受けながら、皮肉にも「ギターロックの未来」とまで称された『OK Computer』はその後、国内外に数多くのエピゴーネンを生み出し、後にフロントマンによって「ロックなんてゴミじゃん」と切り捨てられるまで新たなロック・スタンダードとして機能することとなる。そして信仰を失ったイギリスはニヒリスティックな大騒ぎ、ビック・ビーツ・ブームへと突入してゆく。プロディジーの『The Fat of The Land』が1000万枚を超える未曾有の大ヒットを記録したのもこの1997年だった。
10.Chemical Brothers『Dig Your Own Hole』
9.Spirtualized『Ladies and Gentlemen We Are Floating in Space』
https://itunes.apple.com/jp/album/ladies-gentlemen-we-are-floating/id338915042?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
8.Dj Shadow『Endtroducing…』
https://itunes.apple.com/jp/album/endtroducing.../id14205179?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
7.Photek『Modus Operandi』
6.Cornershop『Born For The 7th Time』
5.The Verve『Urban Hymns』
https://itunes.apple.com/jp/album/urban-hymns/id724526995?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
4.Pavement『Brighten The Corners』
https://itunes.apple.com/jp/album/brighten-corners-nicene-creedence/id295095700?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
3.Super Furry Animals『Radiator』
2.中村一義『金字塔』
1.Radiohead『Ok Computer』
https://itunes.apple.com/jp/album/ok-computer/id696736813?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog