スヌーザーが選んだ2000年度ベスト・アルバム10
当時の「ロックの覇者」であるレディオヘッドがオウテカやエイフェックス・ツインなどに接近した「アンチ・ロック」の傑作『Kid A』をリリースしたことを、2000年の音楽シーン最大のトピックとして挙げることに異論がある人はいないだろう。絶対零度の電子音はビック・ビートの狂乱に冷水を浴びせ、アンダーワールドは集大成的なライブ盤『Everything, Everything』を発表しダレン・エマーソンが脱退する。終わりと始まりは同時に起きるものだ。『何かが終わったら何かが始まるんだ』。前年(1999年)のレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン『Battle of Los Angeles』を皮切りに、多くのポリティカルで攻撃的な作品がリリースされた。グリーンデイは暴力に抵抗するかのようにしなやかにバウンスする『Warning』を、プライマル・スクリームは暴力に呼応するかのように破壊衝動とノイズまみれの『Xtrmntr』を発表した。ムーディマンやズボンズの傑作も、どちらも民衆の怒りについてのアルバムだった。
『Kid A』のコンセプトは「未来の子供達へノアの方舟を作るためのサウンドトラック」というものだった。アルバム全体に漂う不穏な空気と、それを宥めようとする「優しい」としか呼べない丸みを帯びたサウンドが奇妙に同居している作風はグランダディやエリオット・スミスの作品とも共振する(グローバリズムによる画一化に対する警鐘であり、同時に「僕はここにそぐわない」というかつての歌詞に対するアンサーでもある「すべてのものがあるべきところにある」という理念を高純度に音にした、というのが田中フミヤ『Unknown Possibility Vol.2』がこの年のベストアルバムに選出された理由だった)。「彼らは同時多発テロを予見していた」なんてのはファンの行き過ぎた妄言だとしても、作品から「まだ間に合うかもしれない」という希望を汲み取るのは容易い。それは2機の飛行機が世界貿易センターに突っ込む1年前のことだ。
スヌーザーが選んだ2000年度ベストアルバム10
10.Elliot Smith『Figure8』
https://itunes.apple.com/jp/album/figure-8/id13461006?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
9.Grandaddy『The Sophtware Slump』
8.Jurrassic 5『Quality Controll』
https://itunes.apple.com/jp/album/quality-control/id14524651?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
7.ズボンズ『Dirty Bomb』
6.Primal Scream『Xtrmntr』
5.Radiohead『Kid A』
https://itunes.apple.com/jp/album/kid-a/id726381639?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
4.くるり『図鑑』
3.Moodymann『Forevernevermore』
2.Greenday『Warning』
https://itunes.apple.com/jp/album/warning/id5132737?uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
1.田中フミヤ『Unknown Possibility Vol.2』
スヌーザーが選んだ2000年度ベストシングル10
1.Daft Punk「One More Time」
3.V.A「Annui Dub: Thank You Very Much My Friend」
6.Zombie Nation「Kernkraft 400」
7.Eminem「The Real Slim Shady」
8.Green Day「Minoriy」
10.中村一義「1,2,3」